冬季うつで仕事に行けないときはどうする?原因と乗り越え方を解説

秋から冬にかけて決まって気分が落ち込み、「仕事に行けない」と自分を責めていませんか。その不調は20代から30代の女性に多く見られ、日照不足が引き起こす「冬季うつ」という医学的な状態の可能性があります。

この記事では、冬季うつの原因から、仕事に行けなくなったときの具体的な3ステップ、専門的な治療法、日常生活でできるセルフケアまでを網羅的に解説します。

ご自身の状況と照らし合わせることで、つらい症状を乗り越えるための道筋が見えてきます。冬の不調と上手に付き合い、来シーズンに備えるための第一歩を踏み出しましょう。

もしかして冬季うつ?今すぐできるセルフチェックリスト

秋から冬にかけて、決まって心や体に不調が現れ、仕事のパフォーマンスに影響が出ていませんか。

もしそうなら、それは単なる「冬バテ」や「気分の問題」ではなく、「冬季うつ(季節性感情障害)」という治療が必要な病気のサインかもしれません。

これから挙げる項目は、ご自身の状態を客観的に見つめ、冬季うつの可能性に気づくための手がかりです。複数当てはまる場合は、決して一人で抱え込まず、専門家への相談を考えてみてください。

気分の落ち込みや憂うつ感が2週間以上続く

理由のない気分の落ち込みや憂うつな気持ちが2週間以上続くのは、冬季うつを考える上で最も基本的なサインです。

一時的な気分の波とは異なり、日照時間が短くなるにつれて症状が現れ、春の訪れとともに和らぐという「季節性」のパターンが見られるのが特徴です。

<仕事への影響>

  • 以前はやりがいを感じていた業務に、まったく興味が湧かなくなった
  • 何をしても楽しいと感じられず、休日も心が晴れない
  • ふとした瞬間に涙ぐんだり、自分はダメだと責めたりしてしまう

このような心の状態は、あなたの「やる気」や「性格」の問題ではありません。心が発しているSOSサインと捉え、まずは自分の状態を認めてあげることが回復への第一歩です。

朝、布団から出られない、体が鉛のように重い

十分な時間寝たはずなのに朝起きられず、体が鉛のように重く感じるのは、「過眠」と呼ばれる冬季うつの特徴的な症状の一つです。

これは気合や意志の力で解決できるものではなく、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌バランスが崩れ、日中も強い眠気が続いてしまうために起こります。

<仕事への影響>

  • 目覚ましを何度も止めてしまい、遅刻ギリギリになることが増えた
  • 出勤準備をする気力が湧かず、身支度に普段の倍以上の時間がかかる
  • 午前中の会議では頭が働かず、ボーっとしてしまう
  • 簡単なパソコン作業ですら、すぐに疲れて横になりたくなる

夜更かしをしたわけでもないのに、このような状態が続く場合は無理をせず、心と体を休ませる必要があるというサインかもしれません。

特定の食べ物(特に炭水化物)が無性に食べたくなる

パンやパスタ、お菓子といった炭水化物や甘いものが無性に食べたくなるのも、冬季うつの特徴的なサインです。

これは、日照不足で気分の安定に関わる脳内の神経伝達物質「セロトニン」が減少するのを補うため、脳が手っ取り早くエネルギー源となる糖質を欲している状態と考えられます。意志の弱さが原因ではありません。

<仕事への影響>

  • デスクの引き出しにお菓子を常備していないと、仕事に集中できない
  • 昼食後、猛烈な眠気に襲われて午後の業務に支障が出る
  • 食事をしても満たされず、常に何か口にしていないと落ち着かない

この結果、体重が増えて自己嫌悪に陥るという悪循環につながることも少なくありません。食欲の変化は、体が助けを求めているサインだと理解しましょう。

人に会うのが億劫で、引きこもりがちになる

うつ症状による意欲の低下が対人関係にまで影響し、人と関わること自体が大きなストレスに感じられるようになることがあります。

職場でも無意識に人を避けるようになり、孤立感を深めてしまうケースも珍しくありません。

<仕事への影響>

  • 同僚との雑談やランチの誘いを、理由をつけて断ることが増えた
  • チームでの共同作業が苦痛で、一人でできる仕事ばかり選んでしまう
  • 電話応対や来客対応ですら、ひどくエネルギーを消耗するように感じる
  • 休日も外出する気になれず、一人で家に閉じこもりがちになる

周囲から「付き合いが悪い」「やる気がない」と誤解されがちですが、これはあなたの性格が変わったわけではなく、治療によって改善が期待できる症状の一つです。

集中力が続かず、仕事でミスが増える

普段なら考えられないような仕事上のミスが増えるのは、冬季うつによって脳のエネルギーが枯渇し、思考力や判断力が低下しているサインです。

これは、あなたの能力が落ちたわけでも、仕事が雑になったわけでもありません。

<仕事への影響>

  • メールの文章を考えるのに時間がかかり、返信が滞ってしまう
  • 何度も確認したはずの資料で、後からケアレスミスが見つかる
  • 会議の内容が頭に入ってこず、話についていけなくなる
  • ミスを恐れるあまり、かえって仕事のスピードが極端に落ちる

無理に仕事を続けようとすると、さらにミスを重ねて自信を失うという悪循環に陥りかねません。まずは不調の原因が病気にある可能性を認識することが大切です。

冬季うつの原因は日照不足?うつ病との違いを解説

秋から冬にかけての不調の正体である冬季うつは、主に日照時間の短さが引き金となり、一般的なうつ病とは症状の出かたに大きな違いが見られます。

この不調は「季節性感情障害(SAD)」という正式な病名を持つ、治療が必要な医学的な状態です。気力で乗り越えようと自分を責める必要はまったくありません。

まずは、環境の変化が体に及ぼすメカニズムを正しく知ることが、回復への第一歩になります。

冬季うつの原因は日照不足?うつ病との違いを解説
冬季うつの原因は日照不足?うつ病との違いを解説

なぜ冬になると発症しやすいのか

冬になると日照時間が短くなることで、私たちの脳内では主に2つの重要な物質のバランスが崩れてしまいます。これが、冬季うつの引き金となります。

  • 気分の安定を保つ「セロトニン」の不足 セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、心の安定や意欲を保つために不可欠な神経伝達物質です。このセロトニンは、太陽の光を浴びることで脳内での生成が活発になります。 しかし、冬場は日照時間が減るためセロトニンの生成量も低下し、まるで心の栄養が不足したような状態に。これが、理由のない気分の落ち込みや、何事にも興味がわかなくなる原因と考えられています。

  • 睡眠リズムを司る「メラトニン」の乱れ メラトニンは「睡眠ホルモン」と呼ばれ、自然な眠りを誘う働きがあります。朝、太陽の光を浴びるとメラトニンの分泌が止まり、夜になると再び分泌が始まることで、私たちの体は「活動と休息」のリズムを保っています。 ところが、冬は日中の光が弱く、朝の光を浴びる機会も減るため、このリズムが乱れがちです。結果として、日中の耐えがたい眠気(過眠)や、朝起きられないといった症状につながるのです。

一般的なうつ病と冬季うつの症状の違い

冬季うつは気分の落ち込みといった点では一般的なうつ病と共通しますが、身体に現れるサインは正反対ともいえる特徴的な違いがあります。ご自身の不調がどちらに近いかを知ることが、適切な対処への第一歩です。

主な違いを、以下の表に整理しました。

症状項目 一般的なうつ病(非季節性) 冬季うつ(季節性感情障害)
睡眠 ・不眠になりがち
・寝つけない、夜中や早朝に目が覚める
過眠になる傾向
・日中も眠く、普段より何時間も長く寝てしまう
食欲 ・食欲不振になることが多い
・何を食べても美味しく感じず、体重が減る
過食になる傾向
・特にパンや菓子など炭水化物を無性に欲し、体重が増える
周期性 季節とは関係なく発症する 毎年決まって秋から冬に不調になり、春になると自然に回復する

このように、冬季うつは「たくさん寝て、たくさん食べる」という、一般的なうつ病のイメージとは異なる症状が目立ちます。

そのため、「ただの怠け癖だ」「食いしん坊なだけ」と本人や周囲が誤解しやすく、治療の開始が遅れるケースも少なくありません。

また、冬季うつは20代から30代で発症することが多く、女性は男性よりもかかりやすい傾向があることもわかっています。毎年繰り返す冬の不調は性格や体質の問題ではなく、適切な治療で改善が期待できる病気であることを知っておきましょう。

「仕事に行けない」と感じたときの3つのステップ

「仕事に行けない」という心と体のSOSサインを感じたら、無理に自分を奮い立たせる必要はありません。ご自身の心身を守り、回復への道筋をつけるために、具体的な3つのステップに沿って冷静に行動しましょう。

まずは安全な場所で休み、次に職場環境を調整し、最後に経済的な基盤を確保する。この手順で、焦らず一つひとつ進めていくことが大切です。

ステップ1 まずは休む勇気を持つ

「休む」ことは、冬季うつの治療において最も優先されるべき最初の一歩です。

これは精神論ではなく、日照不足などによって脳のエネルギーが枯渇した状態を回復させるための、医学的に必要なプロセスといえます。

「会社に行かなければ」という責任感や罪悪感から無理に出勤しても、集中力や判断力が低下した状態ではかえってミスを誘発し、さらに自分を責めてしまうという悪循環に陥りかねません。

体が鉛のように重い、布団からどうしても出られないといったサインは、あなたの心身が発する「これ以上は限界だ」という悲鳴です。

まずは1日、思い切って休みましょう。そして、その時間を自分のためだけに使って、専門医(心療内科・精神科)に相談することを考えてみてください。「休む」のは逃げではなく、再び元気に働くための戦略的な「治療」なのです。

ステップ2 会社への伝え方と連絡例文

会社へは、状況に応じて「当日の欠勤連絡」と「今後の働き方に関する相談」の2段階で伝えるのがスムーズです。

「怠けていると思われたらどうしよう」と不安に感じるかもしれませんが、医師の診断書を添えることで、あなたの状態が客観的な事実であることを示し、会社側の理解と協力を得やすくなります。

【当日の欠勤連絡】

始業時間前に、会社のルールに従って直属の上司へ連絡します。電話が基本ですが、チャットツールでの連絡が認められている職場ならそれでも構いません。理由は「体調不良のため」と簡潔に伝えれば十分です。

  • 電話での連絡例文 「おはようございます。〇〇です。大変申し訳ありませんが、今朝から体調が優れず、起き上がることが困難なため、本日はお休みをいただきたくご連絡いたしました。」

【症状が続く場合の相談】

数日休んでも改善しない場合は、専門医を受診し、診断書をもらった上で上司や人事担当者に相談しましょう。診断書は、あなたの状況を客観的に伝え、必要な配慮を求めるための重要なツールになります。

具体的に相談できる内容の例を下記に整理します。

  • 一定期間の休職
  • 勤務時間の短縮や時差出勤の適用
  • リモートワーク(在宅勤務)への一時的な切り替え
  • 負担の少ない業務への一時的な変更や業務量の調整

ご自身の状況に合わせて、どのような働き方なら無理なく続けられるかを具体的に相談することが、仕事を続けていくための鍵となります。

ステップ3 休職中に使える公的支援制度(傷病手当金など)

休職を選択した場合の経済的な不安を支える公的支援制度として、「傷病手当金」があります。

これは、会社の健康保険に加入している方が、病気やケガが理由で働けなくなった場合に、生活を支えるために支給されるお金のことです。もちろん、医師が労務不能と判断した冬季うつによる休職も対象になります。

傷病手当金を受け取るには、主に以下の4つの条件を満たす必要があります。

支給条件 具体的な内容
1. 業務外の療養 ・仕事中や通勤中以外の原因による病気やケガで療養していること
2. 労務不能 ・仕事に就くことができない状態であると医師が証明すること
3. 連続4日以上の休業 ・療養のために仕事を連続して3日間休んだ後(待期期間)、4日目以降も休んだ日が支給対象となる
4. 給与の支払いがない ・休んでいる期間、会社から給与が支払われていないこと
・給与が支払われても、傷病手当金の額より少ない場合は差額が支給される

支給額は、大まかに月給の約3分の2が目安となり、最長で1年6カ月間受け取ることができます。

申請手続きは、会社の総務・人事担当者か、ご自身が加入している健康保険組合の窓口に問い合わせてみましょう。申請書には医師が記入する欄もあるため、休職を相談する際に、通院中のクリニックへ忘れずに持参してください。

経済的な不安を軽減し、安心して治療に専念できる環境を整えること。それが、スムーズな回復と職場復帰への一番の近道です。

専門医が解説する冬季うつの効果的な治療法

冬季うつの治療は、「光療法」「薬物療法」「精神療法・カウンセリング」という3つのアプローチが基本の柱です。

太陽光の代わりとなる強い光で体内リズムを整える「光療法」を主軸とし、症状に応じて脳の働きを助ける「薬物療法」や、ストレスへの向き合い方を学ぶ「精神療法」を組み合わせて進めます。

これらの治療は、日照不足で乱れた心身のバランスを取り戻し、つらい症状を和らげて仕事や日常生活への復帰を目指すために行われます。

専門医が解説する冬季うつの効果的な治療法
専門医が解説する冬季うつの効果的な治療法

自宅でもできる「光療法」とその選び方

光療法は、強力な光を人工的に浴びて体内リズムをリセットする、冬季うつの中心的な治療法です。出勤前の時間などを活用して自宅で行えるため、仕事を続けながらでも取り組みやすいのが大きな特徴といえます。

朝に強い光を浴びることで、夜の自然な眠りを促すとともに、日中の気分の安定に関わる脳内物質(セロトニン)の分泌を活発にする効果が期待できます。

治療には専用の機器が必要ですが、安全で効果的なものを選ぶために、以下のポイントを確認しましょう。

確認ポイント 具体的な内容
照度(明るさ) ・治療には2,500〜10,000ルクスの照度が必要とされます
・使用時間などは機器の種類や個人の状態によって異なるため、医師の指示に従う必要があります。
安全性 ・目や肌への影響を避けるため、紫外線(UV)がカットされている医療用の機器を選びましょう
使い方 ・機器を顔の斜め45cmくらいの位置に置き、光が目に入るようにします
・光を直接見つめる必要はなく、読書や食事をしながらで問題ありません

ご自身の生活スタイルに合った機器を選び、医師の指示のもと、毎日続けることが回復への近道です。

抗うつ薬(SSRI)などを用いた薬物療法

薬物療法は、光療法だけでは症状が十分に改善しない場合や、気分の落ち込みが特に強い場合に選択される治療法です。

主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる種類の抗うつ薬が使われます。これは、脳内で不足しがちな気分を安定させる物質「セロトニン」が、効率よく働くのを手助けする薬です。

薬を服用する上で知っておきたいことを、下記に整理します。

項目 内容
効果が出るまでの時間 ・効果を実感できるまで、通常2週間〜1カ月ほどかかります
・すぐに変化がなくても、自己判断で服用をやめないことが重要です
副作用への対応 ・飲み始めに眠気や吐き気が出ることがありますが、多くは続けるうちに軽快します
・眠気など、業務に影響が出そうな場合は我慢せず、必ず主治医に相談してください

医師の指示通りに服用を続けることで、つらい憂うつな気分や意欲の低下を和らげる効果が期待できます。

専門家と話すことで心が軽くなる精神療法・カウンセリング

精神療法・カウンセリングは、専門家との対話を通じて、ストレスへの対処スキルを身につけ、再発しにくい心を作っていく治療法です。

毎年冬になると不調を繰り返す背景には、物事の受け止め方や考え方のクセが影響していることがあります。そのパターンに専門家と一緒に気づき、修正していくことで、根本的な改善を目指せます。

代表的な「認知行動療法」では、例えば「仕事に行けない自分はダメな人間だ」というつらい考えが浮かんだときに、それを「今は脳のエネルギーが切れているだけ。休むことが治療だ」といった、より現実的で負担の少ない考え方に置き換える練習をします。

こうしたトレーニングを重ねることで、自分を責める気持ち(罪悪感)が和らぎ、回復に向けて前向きな気持ちを取り戻すきっかけになるでしょう。

日常生活で症状を和らげるセルフケア5選

専門的な治療と並行して、ご自身の生活の中で取り組めるセルフケアは、冬季うつのつらい症状を和らげるための大きな力になります。特別なことは必要ありません。日々の小さな工夫を積み重ねることが、心身のバランスを取り戻し、仕事のパフォーマンスを安定させる土台となります。

1. 朝日を浴びる習慣をつける

朝日を浴びる習慣は、乱れた体内時計をリセットし、症状を和らげるための最も手軽で効果的な方法です。

朝の光を浴びることで、気分の安定に関わる脳内物質「セロトニン」の分泌が活発になり、同時に睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌がストップします。これにより、心と体が「活動モード」へと切り替わるのです。

曇りや雨の日でも、屋外の光は室内の照明よりはるかに強力です。まずは5分からでも良いので、意識的に光を浴びる時間を作りましょう。

【具体的な実践方法】

  • 起床後すぐにカーテンを開け、窓際で朝食をとる、歯を磨く
  • ベランダに出て、数分間外の空気を吸う
  • 通勤時に一駅手前で降りて歩き、太陽の光を浴びる時間を確保する

出勤前の慌ただしい時間でも、こうした少しの工夫が、夜の自然な眠りと日中の活力につながります。

2. ビタミンDやトリプトファンを意識した食事

食事から心の健康に必要な栄養素を補給することも、症状緩和のサポートになります。

冬季うつの時期は、日照不足で生成されにくい「ビタミンD」や、気分の安定に関わる「セロトニン」の材料となる「トリプトファン」が不足しがちです。

特に、冬季うつではパンや甘いものなど炭水化物を無性に食べたくなりますが、これは脳がセロトニンを増やそうとしているサインでもあります。トリプトファンは、炭水化物と一緒に摂ることで脳内に効率よく運ばれるため、ただ我慢するのではなく、賢く組み合わせることが大切です。

バランスの良い食事を基本としながら、以下の食材を意識して取り入れてみてください。

意識したい栄養素 働きと多く含まれる食材
トリプトファン セロトニンの材料となるアミノ酸
・大豆製品(豆腐、納豆、味噌)
・乳製品(チーズ、牛乳、ヨーグルト)
・バナナ、ナッツ類、卵
ビタミンD 日光を浴びることで生成されるビタミン
精神的な安定にも関与すると考えられている
・鮭、さんま、いわしなどの青魚
・きのこ類(特にきくらげ、干し椎茸)

お米やパンなどの主食を適量摂りつつ、これらの食材をランチや夕食に一品加えることから始めてみましょう。

3. 無理のない範囲でのウォーキングなどの軽い運動

無理のない範囲での軽い運動は、気分転換とセロトニンの分泌促進という二つの側面から、症状緩和に役立ちます。

体が鉛のように重く、運動する気力が湧かないかもしれませんが、ウォーキングやラジオ体操のような一定のリズムを繰り返す「リズム運動」は、セロトニンの分泌を促す効果が期待できます。

大切なのは、頑張りすぎないことです。「こうしなければ」と義務にすると、かえってストレスになりかねません。ハードルを極限まで下げることが、続けるための秘訣です。

【仕事の合間にできる軽い運動】

  • 昼休みに会社の周りを5分だけ散歩する
  • エレベーターやエスカレーターを階段に変えてみる
  • 少し遠くのコンビニやカフェまで歩いてランチを買いに行く

特に午前中に太陽の光を浴びながら歩くと、光を浴びる効果も同時に得られ、一石二鳥です。「今日は調子が良いから少し歩いてみよう」くらいの軽い気持ちで始めてみましょう。

4. 趣味やリラックスできる時間を作る

意識的にリラックスする時間を作ることは、仕事や不調のことで消耗した心のエネルギーを充電するために不可欠です。

冬季うつの影響で、以前は楽しめていた趣味に興味が湧かなくなることも少なくありません。そんなときは無理に何かをする必要はなく、「何もしない時間」を自分に許可してあげることが大切です。

「休むことは、パフォーマンスを回復させるための積極的な行動だ」と捉え、罪悪感を手放しましょう。

【手軽にできるリラックス方法の例】

  • ぬるめの入浴:38〜40度のお湯にゆっくり浸かり、心身の緊張をほぐす
  • 好きな音楽を聴く:歌詞のないBGMなどを流し、頭を空っぽにする
  • アロマテラピー:リラックス効果のあるラベンダーなどの香りを活用する

仕事の生産性を維持するためにも、意識的に心と脳を休ませる「オフの時間」をスケジュールに組み込むことをお勧めします。

5. 就寝・起床時間を一定にする

就寝・起床時間を一定に保つことは、冬季うつの特徴である「過眠(寝ても寝ても眠い状態)」や日中の強い眠気をコントロールする基本です。

長く寝すぎると体内時計がさらに乱れ、かえって日中の倦怠感が強まることがあります。まずは「起きる時間」を固定することから始めてみましょう。

【生活リズムを整えるポイント】

  • 休日も平日と同じ時間に起きる:体内時計の乱れを防ぐ最も重要なポイントです。
  • 起きたらすぐに朝日を浴びる:活動開始のスイッチを強制的に入れます。
  • 就寝前のスマホやPCは避ける:画面から出るブルーライトは脳を覚醒させ、睡眠の質を低下させます。

日中の眠気は、仕事の集中力や判断力に直接影響します。規則正しい睡眠リズムは、心身の調子を整え、日中のパフォーマンスを安定させるための土台になるといえます。

来年の冬に備えるための再発予防策

来年の冬に備える再発予防策は、春から秋にかけての過ごし方でその効果が大きく変わります。

冬季うつは毎年同じ時期に繰り返す傾向があり、春になって症状が楽になるのは「完治」したのではなく、一時的に症状が落ち着いている「寛解(かんかい)」という状態だからです。

これはあなたの性格や気力の問題ではなく、予測が可能な季節性の不調といえます。 そのため、症状が出やすい冬本番に慌てて対処するのではなく、仕事のプロジェクト管理のように前もって計画的に準備を進めることが、冬のパフォーマンスを安定させる上で極めて有効です。

つらい時期をただ乗り切るためではなく、冬も安定して働き続けるための「戦略的な準備」と捉え、今からできる対策を始めましょう。

来年の冬に備えるための再発予防策
来年の冬に備えるための再発予防策

秋口から始める予防的な光療法

秋口から予防的に光療法を始めることは、冬の不調の波を小さくするための最も効果的な先手のひとつです。

本格的な冬が来る前に、日照不足で減少しがちな脳内の気分安定物質「セロトニン」を補い、体内時計のズレを最小限に食い止める狙いがあります。

「予防」として取り入れる際は、以下のポイントを意識すると、毎日の習慣にしやすくなります。

  • 開始時期:日差しが弱まり始める9月〜10月頃からスタートします。
  • 時間帯:出勤前の30分間など、毎朝決まった時間に行うのが理想的です。体内時計をリセットする効果が最も高まると考えられています。
  • 継続のコツ:光を浴びながら朝食をとる、メールをチェックするなど、「ながら」でできる仕組みを作ると、負担なく続けられます。

症状が出てから治療を始めるより、心身の負担を軽くできる可能性があります。冬のパフォーマンスを維持するための自己投資と捉え、ぜひ検討してみてください。

生活リズムを整え、ストレスを溜めない工夫

生活リズムを整え、ストレスを溜めない工夫は、冬季うつの波を乗りこなすための土台作りといえます。

特に、不調のサインが出やすい季節の変わり目にセルフケアを意識的に強化することが、冬シーズンのコンディションを大きく左右します。

日々の業務パフォーマンスを安定させるため、以下の点を仕事のサイクルに組み込んでみましょう。

項目 仕事のパフォーマンスを高めるための具体的な工夫
睡眠 ・週末の寝だめは体内時計を乱し、週明けの不調を招く原因になります。
・休日も平日と同じ時刻に起き、朝の光を浴びる習慣を徹底しましょう。
食事 ・セロトニンの材料(トリプトファン)と、それを脳へ運ぶ炭水化物の組み合わせが鍵です。
・コンビニランチなら「鮭おにぎりと豆腐の味噌汁」、外食なら「生姜焼き定食」など、賢いメニュー選びを意識します。
運動 ・通勤時に一駅手前で降りて歩く、昼休みに5分だけ会社の周りを散歩するなど、日光を浴びながらのリズム運動はセロトニン分泌を促すのに効果的です。
ストレス管理 ・冬はパフォーマンスが落ちやすいと自覚し、あらかじめ上司に「この時期は不調が出やすいので、業務の調整でご相談するかもしれません」と情報共有しておくのも一つの手です。
・無理をしないための環境を、自分で作っていく意識が大切になります。

まとめ

冬季うつで仕事に行けないと感じたときは、無理に自分を奮い立たせるのではなく、まずは休む勇気を持つことが回復への第一歩です。

この不調は気力や性格の問題ではなく、日照不足が引き金となる治療が必要な状態で、光療法やセルフケアによって症状を和らげる効果が期待できます。 休職が必要な場合も、傷病手当金などの公的支援を活用すれば、経済的な不安を和らげて治療に専念する環境を整えられます。

毎年繰り返す冬のつらい不調は、決して一人で抱え込む必要はありません。 まずは心療内科や精神科といった専門家に相談し、ご自身に合った対策を見つけることから始めてみませんか。

この記事を書いた人

garagellc
garagellc
齋藤雄佑。
仙台さいとう産業医事務所、代表産業医 
資格
・日本医師会認定産業医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・日本外科学会外科専門医
・健康経営エキスパートアドバイザー

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齋藤雄佑。
仙台さいとう産業医事務所、代表産業医 
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・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・日本外科学会外科専門医
・健康経営エキスパートアドバイザー